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フランク・クレイマー(1970)『西部悪人伝』

EHI AMICO...C'E SABATA, HAI CHIUSO!
製作国:イタリア/スペイン
上映時間:107分
監督:フランク・クレイマー
出演:リー・ヴァン・クリーフ/ウィリアム・バーガー/フランコ・レッセル/ペドロ・サンチェス

マカロニウエスタンが斜陽に差し掛かっていた1970年、そんな時期に『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)、『怒りの荒野』(1967)などで名バイプレイヤーとして活躍した名優リー・ヴァン・クリーフを主演に据えて公開されたのが、この『西部悪人伝』でした。

 「夕陽のガンマン」をはじめ数多くのマカロニ・ウエスタンでファンを魅了したリー・ヴァン・クリーフが、“西部の007”とでも呼ぶべきアクション・ヒーロー<サバタ>に扮した痛快娯楽大活劇。華麗なガンプレイとトリッキーなストーリーがあいまったユニークな作品で、以降の様々な作品に大きな影響を与えている。マルチェロ・ジョンビーニの軽快なテーマ曲に乗せて描かれるサバタの活躍には胸躍ること必至!
 西部の町ドハティに孤独な影を漂わせる男サバタがやって来た。時を同じくして、銀行強盗事件が発生、10万ドルの入った金庫が奪われてしまう。いち早く事件に気づいたサバタは直ちに悪党達を追跡。翌朝、サバタは多くの死体とともに無傷の金庫を持って戻ってきた。彼に賞金を渡した警備隊長は、強盗団の徹底捜査を宣言するが、証人達は何者かによって消されていってしまう。そんな中、サバタは犯行に使われた馬車を手に入れる。事件の首謀者であるスティンゲル男爵、オハラ判事、ファーガソンの三人は、証拠隠滅のためにサバタ暗殺に次々と刺客を差し向ける。

以前も書きましたが、このリー・ヴァン・クリーフという人はバイプレイヤーとして画面に登場させると、主役を喰うほどの存在感を見せてくれるのですが、主演として映画を撮ると、逆にその存在感が仇となり、映画自体の印象が散漫なものになってしまいがちな俳優さんなのです。

そんなリー・ヴァン・クリーフの特徴をうまく活かしたのが、上記の『続・夕陽のガンマン』や『怒りの荒野』であり、逆に失敗した例が『復讐のガンマン』あたりになるのでしょう。特に、あの悪役顔のクリーフに法を遵守する善人役をやらせても……。そう言った意味では、『風の無法者』(1967)は彼に最初は悪人として出てくるのだが、少しずつ善人側になってゆく……という役割を与え、主演ながらそれなりにいい映画になっていました。

そしてこの『西部悪人伝』。クリーフはサバタという謎の男に扮しているのですが、これが本当にかっこいい。監督も、映画の枠にクリーフを押し込めるよりも自由にのびのびと演じさせることを選んだのかもしれません。とても楽しそうにサバタを演じています。

ストーリーはよく言えば自由、悪く言えば荒唐無稽。届かないはずの距離からウィンチェスター銃で相手を皆殺しにし、それについて何も説明がないとか、拳銃の握りの部分が開いて、そこから更に弾を発射できる拳銃が何の説明もなく登場したりとか。

全ての物語に辻褄や意味を求める向きには少し辛い映画かもしれません。しかし、マカロニウエスタンのおどろおどろしさと爽快さのうち、爽快さを煮詰めて凝縮したような映画なので、難しいことよりも、スカッとしたい方には本当にお勧めです。