おとやろぐ

イタリア製・ソ連製西部劇研究家見習い

シネマヴェーラ渋谷「イタリア萬歳Ⅱ」改め「マカロニ萬歳」私的まとめ

東京の名画座シネマヴェーラ渋谷にて「イタリア萬歳Ⅱ」という特集上映をやっているのですが、ラインナップにはマカロニウエスタンが7本含まれていました。ご存知の方も多いかと思いますが、マカロニウエスタン好きが高じて何本かのBlu-rayソフトの小冊子にコラムを書かせていただいていたりするような人間なので、今回の上映も非常に楽しみにしていました。残念ながらすべての作品を見ることはできなかったのですが、マカロニの上映がすべて終了したようなので、私的まとめ的なエントリを書いておきます。

上映された作品は以下の7本

  • 怒りの荒野
  • 群盗荒野を裂く
  • 荒野の1ドル銀貨
  • 続 荒野の用心棒
  • 情無用のジャンゴ
  • ミスター・ノーボディ
  • 野獣暁に死す

このうち今回ぼくが見ることができたのは、『群盗荒野を裂く』『荒野の1ドル銀貨』『続 荒野の用心棒』『ミスター・ノーボディ』の4本。以下、簡単に解説というか短評を書いてみます。

  • 群盗荒野を裂く

群盗荒野を裂く スペシャル・エディション [DVD]

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社会派マカロニというと確実に名前が挙がってくるのが本作。監督のダミアーノ・ダミアーニは西部劇は本作しか監督していません。西部劇といっても、本作は全編メキシコを舞台にした革命劇。マカロニウエスタンメキシコ革命劇というと、コルブッチの革命3部作(『豹/ジャガー』『ガンマン大連合』『進撃0号作戦』)を挙げるまでもなく、一つの大きなジャンルを形成しています。もともとマカロニウエスタンの制作に参加していたイタリアの映画人には政治的に左派に属する映画人が多かったことも、このサブジャンルの映画が多く作られた要因かもしれません。本作で主演を務めたジャン・マリア・ヴォロンテなんかもバリバリの左派映画人ですしね。

  • 荒野の1ドル銀貨

荒野の1ドル銀貨 HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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ジュリアーノ・ジェンマがまだモンゴメリー・ウッドだった時代の映画。『続・荒野の1ドル銀貨』という作品もあるのですが、あれは同じジェンマ主演でも『夕陽の用心棒』の続編です。ややこしいですね。

久しぶりにこの作品を見て改めて気づいたのは、本作のストーリーや演出が非常に丁寧に作られていること。後年のマカロニウエスタンにはかなり雑な作りの作品も多いのですが、本作は伏線(特に小道具の使い方)がその現実味はともかくとして非常に考えて作られており、見ていて嬉しくなってきます。

本作でヒロインを演じているイヴリン・スチュワートことイダ・ガリですが、マカロニウエスタン界隈では稀有な清純お姫さま系ヒロインという風情で、とても貴重な存在。

  • 続 荒野の用心棒

続 荒野の用心棒 HDニューマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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余談から。本作は多くの映画サイトでは「続・荒野の用心棒」と表記されていますが、「続 荒野の用心棒」が正しいそうです。中黒ではなくスペース。レオーネと並び立つマカロニウエスタンの巨匠コルブッチの言わずと知れた代表作。正直、個人的にはコルブッチの作品では本作よりも『殺しが静かにやって来る』や革命3部作の方が好きなのですが、本作が名作であるという点には異論はありません。

また、今まで中盤のウーゴ将軍(ホセ・ボダロ)との共闘から金を盗もうとして失敗するシークエンスについて、どうも脚本が迷走している印象を抱いていたのですが、今回大画面で見ていて、これは脚本が迷走しているのではなく、ジャンゴ自体が迷走していたのだということに気づきました。そう考えると、本作はマリア(ロレダナ・ヌシアク)の愛の物語なのだ、という諸先輩がたの主張もなるほど、と腑に落ちてきます。というか、なんで今まで気づかなかったのか。

  • ミスター・ノーボディ


レオーネの映画だ、いやヴァレリーの映画だと色々言われる本作。ぼくはヴァレリーの色が濃い映画だと考えています。まぁ、その辺の話は映画ブログの方に書いたのでここでは繰り返しませんが。ただ、本作が制作された動機の一つとして、マカロニウエスタンでやりたいことをやり尽くしたと思っていたレオーネが、当時流行しだしたコメディ・マカロニウエスタンの存在が気になってしまった、ということはあると思います。

『ウエスタン』で悪役を演じたヘンリー・フォンダが本作では西部の伝説的なガンマンを演じます。それまでの「西部の良心」的なフォンダではなく、『ウエスタン』で一度善人像が崩れているフォンダがこの役を演じているところが非常にいい味を出しています。彼を相手に堂々たる立ち回りを見せているテレンス・ヒルですが、このキャラクターは既に『風来坊/花と夕日とライフルと…』で確立された役所であり、堂に入った演じぶり。おなじみの豆の煮物を食べるシーンもしっかりと出てきます。

ラストシークエンスにはもう1つのバージョンが存在し、DVDなどで確認することができるのですが、本編に採用されたシーンの方がやはりノーボディらしい、言い換えればテレンス・ヒルらしく、こちらのテイクが採用されていてよかったなぁ、と思います。

この映画ではもっと色々書きたいことがあるのですが、要約するとテレンス・ヒルほんと好き、という話になるのでこの辺にしておきます。テレンス・ヒルについてはそのうち稿を改めてかなり長い何かを書きます。

最後にぼくがコラム書かせていただいたBlu-rayソフトをダイレクトマーケティングしておきます。この一連のセットのなかの3作品でコラムを書かせていただいています。初回生産版のみに付属の小冊子に収録されているのですが、多分、まだあるんじゃないですかね。多分。

続 荒野の用心棒 HDニューマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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情無用のジャンゴ HDニューマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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荒野の1ドル銀貨 HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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怒りの荒野 HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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殺しが静かにやって来る HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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