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『Steins;Gate』と『バタフライ・エフェクト』

この文章、もともと2010年5月22日に当時のブログに投稿していたものなんですが、シュタゲのアニメを見返したこのタイミングでとりあえず再放出。内容は時系列を整理した以外は当時のものそのまま。

Steins;Gate』は2009年に5pbnitro+によって作られたXbox 360用のアドベンチャーゲーム(サウンドノベルと言ってもいいかもしれない)。一方、『バタフライ・エフェクト』は2004年にエリック・ブレス監督によって制作されたハリウッドムービー。

一見なんの関係もなさそうに見えるこのふたつのプロダクトですが、実はあるひとつのキーワードによって繋がっています。それは「タイムリープ」というキーワード。

このふたつの作品の類似性はすでに散々語られているような気もしますが、つい先日(つまり、2010年5月)、『Steins;Gate』をクリアし、そのままの勢いで『バタフライ・エフェクト』を再見したので、思うところをつらつらと書き連ねてみようかと。

当然ながら両作品へのネタバレが多分に含まれるので、未プレイ・未見の方は両方の作品を味わってから読んでください。『Steins;Gate』は7月にPCにも移植されることが決定したようですし、どちらの作品も絶対に時間対効果の面で損はさせません(2010年7月にPC移植が行われた)。

類似点

まず、どこが似ているかということを考えてみようと思います。第一に、主人公がある目的のために過去に戻る「タイムリープ」を繰り返す、という物語の筋立てがそっくりです。その方法も、両者ともに人間自体が過去にタイムトラベルするのではなく、過去の自分に対して記憶を飛ばす、という点です。

また、両者ともカオス理論を主題のひとつとして据えているため(『バタフライ・エフェクト』なんて、タイトルがそのまま複雑系の有名な説話ですしね)、主人公の過去での行動が現在に予想もできないような大きな影響を与えてしまう点まで同じ。

そして、主人公の目的が、幼なじみ(『Steins;Gate』)や恋人(『バタフライ・エフェクト』)を救う、ということにあるところも似ています。ただ、『バタフライ・エフェクト』も『Steins;Gate』と同じように「何をしても死んでしまうケイリーを助けようとする話」だと記憶していたのですが、見直してみたらそういうわけでもありませんでした。主人公はなるべく周囲の全ての人が幸せになるような、最大公約数的な未来を模索して動いているんですね。

相違点

Steins;Gate』では、タイムリープマシンに対してそれなりの理論付けが成されていました。一方、『バタフライ・エフェクト』では、主人公の特異体質という一言で済まされています。これはまぁ、2時間という映画の尺を考えると妥当な点ですね。いちいち詳しく説明していたら主題がブレてしまいます。

また、『Steins;Gate』のほうは、「まゆりを助けるためにアトラクタフィールドを超える」という行為が、そのまま「SERNによるディストピア構築を防ぐ」という大きな目的に繋がってしましたが、『バタフライ・エフェクト』ではそういうことはなく、主人公の身の回りの事情に終始しています。主人公とヒロインの関係性がそのまま世界の在り方に直結する、というのはいわゆるセカイ系の文脈からも語れると思いますが、バタフライ効果の影響力を効果的に見せていた気もします。だからといって、『バタフライ・エフェクト』の描き方が浅かった、ということにはもちろんまったくなりませんが。

また、周囲の環境も異なります。『Steins;Gate』では、主人公の鳳凰院さんことオカリンには助手ことクリスティーナというよきパートナーがいました。彼女は主人公のタイムリープの目的を理解し、積極的に協力します。一方、『バタフライ・エフェクト』では、その立ち位置には主人公と同じ能力を持っていた、彼の父がいます。しかし、彼の父は自分の能力の恐ろしさ(いかに人を傷つけてしまうのか)に打ちのめされており、彼にその能力は使わないように諭します。それでも使おうとする息子に対しては、その息の根を止めてでも防ごうとしました。どちらが良いとは言えませんが、日本的な「絆」と西洋的な「個」というものを感じる展開だなぁ、と。というわけで、『バタフライ・エフェクト』のほうが基本的に主人公が孤軍奮闘している感じですね。

もちろん、一番違うのはラストシーンなわけですが。これはもう、どちらがいいとは言えません。『Steins;Gate』もよかったし、『バタフライ・エフェクト』もよかったです。ただ、ラストシーンのふたり(岡部と紅莉栖:エヴァンとケイリー)の構図がどちらの作品もそっくりなんですよね。これは『Steins;Gate』のスタッフは狙ってやったのかなぁ……。『バタフライ・エフェクト』ファンとしては、オマージュ的な意味があったら嬉しいのですが。『Steins;Gate』は実績解除のギミックも合わさって神演出だったと思うし、『バタフライ・エフェクト』のエンディングはケイリーが立ち止まって振り返る、そして彼女が前を向くと同時にエヴァンが振り返る、という流れがほんとうに美しいのです。

まさか、ここまで読んでいる方にはいないと思いますが、どちらかの作品をやった(見た)ことのない人はいますぐやる(見る)べき。一押しなのです。

追伸

バタフライ・エフェクト』って実は3作作られているんだよねー。柳の下の泥鰌感があるけれど、どうなんでしょ?