複数形。英語で言うところの-sが付く形です。英語は多少の例外(mouseがmiseになる、みたいなの)がありつつも、基本的には単数形に-sないし-esを付けると複数形ができる、ということになっています。
一方でウェールズ語なんですが、複数形の作り方が何パターンかあって、どうやら単語ごとにある程度決まっていつつも、その決まり方には特に法則性はない(少なくとも私には見つけ得ていない)という愉快な状態になっています。そこでこのエントリではウェールズ語の複数形の作り方のパターンをつらつら書いてみようと思います。
例によって現在の私の学習進捗を反映したものなので、これが全てかどうかはわかりませんし、間違いがある可能性があります。
-au, -iau
単数形に-au、ないし-iauが付くパターン。llyfr(本)がllyfrauになったり、ffrind(友人)がffrindiauになったりします。体感としてはこれが一番多い気がします。といっても、全然圧倒的ではないんですが。-auが付くか-iauが付くかは直前の子音によってある程度決まっているような気がします。これも100%ではなさそうなのが辛いですが。
bws(バス)がbysiauになるなど、語幹の母音を変えてくるパターンもあります。語幹の最終音節にあるwは複数形になるとyに変わりがちな印象。drws(ドア)がdrysauになったり。
-ydd
単数形に-yddが付くパターン。pont(橋)がpontyddになったりする。
amgueddfa(博物館)がamgueddfeyddに変わるのもこの系統っぽい。語幹末の母音が変わっている。chwaer(姉妹)がchwioryddになるのも。
-edd
単数形に-eddが付くパターン。ぱっと出てくるのがgwarig(妻)がgwrageddになるパターンなんですが、この場合語幹のiが落ちる。
-oedd
単数形に-oeddが付くパターン。mynydd(山)がmynyddoeddになったり、darlith(講義)がdarlithoeddになったりする。
-ydd, -edd, -oeddについては同じパターンの異形態ということでまとめられる気もするんだけれど、ちょっとまだ分からない(私が)。語幹の末尾の音で変わるような気もする。
-ed
単数形に-edが付くパターン。merch(少女)がmerchedになったりする。上の-au, -y/e/oeddに比べると少ない気がする。
-i
単数形に-iが付くパターン。ffenestr(窓)がffenestriになる。これもそこまで多くない印象。
-ion, -on
単数形に-ionや-onが付く。ysgol(学校)がysgolionになったり。mab(息子)がmeibionになるのもこのパターンだと思うけれど、母音が変わっている。
wr→-wyr
単数形の最後の-wrが-wyrに変わるパターン。bancwr(銀行員)がbancwyrになる。そもそも語尾が-wrになる単語は男性の属性を表す語が多くて、それが複数形になるときのパターンっぽい。
myfyriwr(学生)がmyfyrwyrになるのもこの系統だけれど、この場合単数形ではwの前にあったiが落ちてる。gŵr(夫)がgwŷrになるのもこの系統かな。
-s
単数形の語尾に-sが付く。英語っぽい。今のところcaffe(カフェ)がcaffesになる用例にしかぶつかっていない。
語幹の母音が変わる
bachgen(少年)がbechgynになるみたいに、語幹部分の母音が変わるパターン。上にも書いたけれど、bws→bysiauみたいな合わせ技もある。
その他
もう形が変わるやつ。brawd(兄・弟)がbrodyrになるとか。これについては-wyrパターンに似てるんだけど、語幹の母音も変わったり、wが落ちたりしてるので、例外的に扱ったほうが良さげ。
gwely(ベッド)がgwlâuに変わるのも、一見-auパターンに近いんだけど、長母音の符号がついていたりeが落ちたりと多少例外的。
あとはathro(先生)がathrawonになるのとか。今のところ同例に出会していない。
複数の複数形の作り方が許容される場合もあるんだけど(例えばllythyr(手紙)の複数形はllythrauでもllythronでもOK)、基本的には単語ごとにどのパターンを取るかが決まっているため、それぞれの単語ごとに複数形を覚えていくしかない、という言語です。